いろとりどり

子供におすすめの本を探す

本12『子うしのきんじろう』

『子うしのきんじろう』

今西乃子/作
ひろみちいと/絵
岩崎書店

※子供に読んでほしい本を探し中の親目線での感想です。

 

肉として食べられるために生まれてきた子うし(きんじろう)の一生が、牛飼いの目線から語られているお話しです。

私たちが普段食べているお肉は、「生きていた牛」なのだということを改めて自覚させてくれるお話しになっています。そうはいっても、牛飼いが愛情をもって子うしの成長を見守るお話しなので、残酷なシーンはなく、低学年でも大きなショックを受けることなく読めるストーリーになっています。大きな文字で、かつ、簡単な言葉遣いで書かれているので、幼稚園生でも読めるお話しだと思います。1年生の漢字は使われていますが、振り仮名がついています。

1年生が読むノンフィクションのお話しとして、とてもおすすめです。

低学年向けの本ではありますが、牛肉として食卓にあがるまでの牛について思いを巡らせるきっかけとなってくれるお話しなので、高学年にもおすすめです。

巻末にはきんじろうの写真が載せられていて、お話しがよりイメージしやすくなっています。

 

本11『大人も知らないお仕事のヒミツ 警察のウラガワ』

『大人も知らないお仕事のヒミツ 警察のウラガワ』

倉科孝靖/監修
学研

※子供に読んでほしい本を探し中の親目線での感想です。

 

警察のお仕事について色々と書いてあります。使われている用語が難しいかなと感じます。また、警察官の間での役割分担の説明がわかりにくいです。この点で、『大人も知らないお仕事のヒミツ』シリーズの『病院のウラガワ』の方が、このシリーズの面白さをより感じられる内容になっているかなと思います。でも、『警察のウラガワ」も、写真やイラストがたくさん使われており、なるべく読みやすいように工夫されています。

 交番勤務の説明の部分はとても興味深いです。子供にとって、交番のおまわりさんの仕事というのは身近に感じやすいと思うので、交番のお話しがはじめに書いてあるのはとても良いと思います。また、事件が起きた場合に、警察の人達がどのように動くのか説明しているところがあり、ここは警察官の仕事の中でも、子供にもイメージしやすい部分について詳しく知ることができる箇所なので、面白いと思います。

 大人の私でも知らなくて驚いたお話しとしては、プライベートに関する決まり(恋人を報告する、家を買ったら報告するなど)です。その決まりの理由についても分かりやすく説明されていて、楽しく読むことができました。

本10『やさしく読めるビジュアル伝記9 マイヤ・プリセツカヤ』

『やさしく読めるビジュアル伝記9 マイヤ・プリセツカヤ たたかう舞姫

金治直美/文
城咲綾/絵
村山久美子/監修
学研

※子供に読んでほしい本を探し中の親目線での感想です。

 

1925年に産まれたロシアのバレリーナマイヤ・プリセツカヤのお話しです。ロシアの国内でスパイ活動や亡命の疑いがかけられてしまい、行動制限をかけられながらも、ひたむきにバレエにうちこんでいく姿が描かれています。世界史を学んでいない子供には当時のロシアの情勢を正確にイメージするのは難しいかもしれませんが、物語の理解に必要最低限のことが簡単に説明されているので、なんとなくロシアの情勢をイメージして、マイヤの苦境が理解できるのではないかと思います。文字が大きく書かれていて、挿絵が多く、漢字にも振り仮名がついています。とても読みやすい文章です。辛いエピソードが多いのですが、全体的には、明るい性格のマイヤの素敵な一生というイメージのお話しとなっています。

 

この本をきっかけに、バレエのこと、ロシアのこと、戦争のことなどなどいろいろな方面に興味が湧いてくるお子さんもいるのではないかと思います。それぞれの内容が、本を読み進めるにあたってほどよく理解できるように書かれていますが、詳しく説明されているわけではないので、バレリーナってどうやったらなれるんだろう、スパイってなんだろう、亡命をする人たちはどのような人達だろう、疎開ってなんだろう、などいろいろなことに疑問・興味をもたせてくれる本だと思います。

 

本9『大人も知らないお仕事のヒミツ 病院のウラガワ』

『大人も知らないお仕事のヒミツ 病院のウラガワ』
佐藤昭裕/監修
学研プラス

※子供に読んでほしい本を探し中の親目線での感想です。

 

タイトルどおり、大人も詳しくは知らないような病院で働く人たちの様々な情報を紹介してくれます。

難しすぎない表現で説明されているため、わかりやすいです。漢字にも振り仮名がついています。また、写真がたくさんあり、身近ではない病院のことがとてもイメージがしやすくなっています。一方で、大人も満足できる程度の説明が書かれていますので、文字数が少なすぎず、しっかりと読み応えがもあります。

1ページ事に情報がまとめられているので、隙間時間に読みやすいと思います。

内容としては、ほとんど眠れない若手医師のスケジュールがのっていたり、看護師の仕事には書類仕事が多いことが説明されていたりと、病院で働く人たちの現実がよくわかる内容となっており、面白いです。また、医師、看護師以外にも病院にかかわる様々な仕事が紹介されていて、病院の中だけでも、色々な仕事があることを知ることができます。

社会のことに興味が出始めてきた中学年以降くらいに、とってもおすすめの一冊です。

 

本8『少年探偵響1』

『少年探偵響1 銀行強盗にたちむかえ!の巻』
秋木真/作
しゅー/絵
角川つばさ文庫

※子供に読んでほしい本を探し中の親目線での感想です。

 

推理小説の入門として良いものはないかと探した一冊です。人が死んだりせず、あまりこわくない内容であることを条件として探しました。

タイトルのとおり、小学生でありながら、探偵として警察の協力をしている響(ひびき)が色々な事件を解決するお話しです。本の全体を通して一つの大事件を解決するのではなく、一冊の中に、3~4個の事件や謎が出てきます。そのため、事件が発生しては解決し、事件が発生しては解決し、という形で、テンポが良いです。全ての漢字に振り仮名がついていますし、読みやすいです。

事件を解決するのは響ですが、話しをすすめているのは、探偵に憧れている高校生の女の子咲希や、響が師事している現代の名探偵の娘七音(なお)なので、今まで探偵ものを読んだことのない女の子でも読みやすくなっていると思います。

現代の日本を舞台にした推理小説なので、日本の社会のことを知るきっかけにもなってくれるかもしれません。銀行強盗がどのような手順で行われるのかなどは、普段の生活を送っているだけでは、イメージできないので。

推理小説というジャンルにも挑戦していきたいと思っている子には、その入門として、とってもおすすめの一冊です。

本7『おはなしSDGs エネルギーをみんなにそしてクリーンに 夢の発電ってなんだろう?

『おはなしSDGs エネルギーをみんなにそしてクリーンに 夢の発電ってなんだろう?』
森川成美/作
こばようこ/絵
講談社

※子供に読んでほしい本を探し中の親目線での感想です。

小学校で発電に関する発表をすることになった時の物語です。主人公たちの発表の内容から、様々な発電のことを学ぶことができます。物語前半では、ソーラー発電のメリットが強調されていますが、後半では、クラスメイトの体験から、夢の発電に思われたソーラー発電にもデメリットがあることが分かり、それを解決するためにはどんな方法があるのかについて主人公が考えをめぐらす内容となっています。

 

大人が読んでも、発電方法やそれぞれのメリット、デメリットについて学べる内容となっていますが、その分、難しい内容となっています。中学年向けの本を難なくすらすら読めるくらしのお子様向けです。漢字の意味からも内容を理解していかないと読めないと思いますので、漢字の学習も中学年~高学年くらいまで進んでから読むのが良いと思います。

本6『おはなしSDgs 貧困をなくそう みんなはアイスをなめている』

『おはなしSDGs 貧困をなくそう みんなはアイスをなめている』
安田夏菜/作
黒須高嶺/絵
講談社

※子供に読んでほしい本を探し中の親目線での感想です。

貧困で困っているけれども、それを隠して生活している小学生の日常が描かれています。
この本を読むことで、身近な子供の貧困についてイメージができるようになると思います。貧困問題が取り上げられる場合、海外の事例が紹介されることが多く、日本国内での貧困問題について学ぶ機会はなかなかありません。そんな中、現代の日本の小学生が貧困問題に関するお話しの主人公になっている点が他の本にはない興味深い点だと思います。また、主人公は自分が貧困で困っていることを隠そうとしてる設定なので、そこから、自分のクラスメイトにこのような子がいても自分は気が付くことができない、でも、貧困で困っているクラスメイトがいるのかも、と想像をすることができ、貧困問題をより身近な問題としてとらえさせてくれると思います。

日本の貧困問題を学ぶにあたって、とてもおすすめの本です。


注意点としては、全ての漢字にふりがながついているわけではないので、低学年では漢字が読めないと思います。難しい表現ではなく、わかりやすい文章になっていますが、読み物として盛り上りがあって面白いというわけではありませんし、子供にとっては日本にこんな子がいるんだ!と衝撃を受ける内容かと思います。中学年向けの本をスラスラ読めるくらいになっている子におすすめするのが良いかなと思います。